鍼灸術の本質は医術である

鍼灸院開業に際しての信念と昔裏話 〜同志としての若き鍼灸師たちへ〜

鍼灸院を開業して37年目になります。開業当時の正式名は「はり・きゅう漢医堂治療院」でした。現在は(有)はり医術処漢医堂といいます。開業予定の同志の参考になればとの思いで昔の裏話を披露します。

開業届けは誰しもドキドキするものです。何か言われないかと思っていたらやっぱりでした。保健所の課長が治療院名を見て言いました。

「う~ん、医という字はだめだな」と。だとは思っていたので、すかさず「じゃ、はり・きゅうと加えればどうでしょう」。しばらくの沈黙の後、「う~ん、ま、いいか」と課長は首をかしげながらも印鑑を押してくれました。鍼灸は医学ではないというのが、そのころも今も変わらずの法的常識だと役人は認識しています。

法律というのは守らなければいけない。しかし信念の前には役人といえどもそこは人間、微妙な心持ちが目をつむってくれたようです。

漢医堂 社(やしろ)本院

 

三宮に分室を出した時も微妙なやり取りがありました。「はり医術処漢医堂」と小さな看板を出したところ神戸市の役人が2人「この医術という看板は違法ですのでとりはずしなさい」とわざわざ勧告に来たのです。「2人して来るか~?」と思いながらもその時は「はい、承知いたしました」と素直に答えたのです。

しかし帰り際に「ところで私どもは有限会社なので”はり医術”の上に(有)はり医術処漢医堂と書いてますが、会社法との関係はどうですかね」というと、2人は顔を見合わせて「えー、その辺はわからんので相談して来る」といって帰って行ったが、未だに音沙汰はない。 

漢医堂 三宮分院待合室

 

若い同志にこんなことを薦めるわけではない。しかし鍼灸術が「医術」であるという信念とこだわりがあるからこその行動であると、そして脈々と地中を流れる地下水脈のごとく受け継がれてきた伝統鍼灸医術を、天下万民の財産として継承したいがための主張であると理解していただけたらと思うのです。

鍼灸術の本質が医術であるという信念に関しては、伝統派・現代派など無関係に大同団結して主張しなければと思っています。

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