誰がすすめてくれたら鍼灸治療を受けられますか?

39歳靴店スタッフ男性、「腰のハリが取れない」という主訴で来院。現在は逆流性胃炎で薬をもらっているだけだが、4年前に膵炎で通院したことがあるという。

「はり灸」が怖くて行こうとも考えてことがなかったが、常連のお客さんが「痛くもなんともないから行きなさいよ、うちの主人も鍼灸院やってるけどまだ下手だから、この先生とこがいいよ」と紹介されたという。

余談だが紹介してくださったこの患者さんは20年来の患者さんで、本人は囲碁の女流大家でご主人に「私が食べさせるから鍼灸師になんなさい」と夫を鍼灸師にしてしまったほどの鍼灸ファンなのである。これくらいだから説得力は学ぶべきものがある、だからこの患者さんこわごわながら来院したのだ。

「脾虚腎肝実証」であった。腎実の処理をするとその場で症状はなくなった。つまり腰のハリは筋肉ではなく腎臓の腫れだったのである。

「本当にびっくりしました。不思議ですね~」と驚きを隠さない。2回の治療で症状は緩解し、尿量がとても増えたという。そのうえ逆流性胃炎の症状が「嘘のようにきえてしまって」この3日間は薬を飲んでいないという。その後「胃の調子までよくなってほんとびっくりですわ」「左肩首も痛かったのも取れてます」とのこと。

 

5回目の朝、「調子はいいですおかげさまで」と言うのを脈診すると、あら?「やや浮いて数にして騒騒しい」脈状にかわっている。躁脉?風邪かな、いや違う。腹気鍼診断で「肺虚肝心実証」がでた。同じような脈状の患者さんに肺気腫のヘビスモーカーがいたのを思い出した。

さい!

さてさて、こりゃ大変だよ

「え、なにかありますか」

タバコは日にどれくらい吸いますか

「1日に1箱くらいです」

「予約時間まで下のエレベーター前で立て続けに3本吸ってきました」

「それに昨夜は外食で、お酒とたばこが多かったです」

37年この仕事をしているが、最近でははっきりと言うことにしている。

このままでは肺気腫という病気、それから肺がんになっていきますね

「えー?!タバコ、日に10本にしますがどうですか」

自分で決めることですから、でも日に8本なら許容量というデータがあるそうだから

「じゃまず8本にします」

できることからやりましょうか

ということで治療家の私の場合、野球部時代にバックネット裏でタバコを吸い始め、20歳でタバコはやめたけれど、代わりに飲み始めたお酒をやめることができないから「やめなさい」と説得することに力がはいりきりません。

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