子午・奇経連動鍼法(診断)による証立て

古人は治療を始める順序について、男子は左から、女子は右から、病症に対しては健側から、両側の穴を補うのを原則としている。

  

ところが臨床的に人の身体は、左右・上下・前後・左上右下・右上左下が虚と実に分かれている。子午鍼法では虚の経絡を判定し、奇経鍼法においては実の経絡を判定するのである。

肺虚肝虚証(肺肝相剋証)の例


患者A氏が「前屈で左腰が痛く、靴下がはけない」と訴えたとします。左腰は左膀胱経のつかさどりです。子午拮抗経絡は右肺経で、右列缺に補法を加えて症状が即時和らぎ除痛されたとき、右肺経は虚の状態であり、左膀胱経は実を呈していることが分かります。

 

ここでの重要点は、「右肺経は虚、左膀胱経は実」と診断されたところです。そのとき同時に頭に奇経八総穴のグループを思い出さねばいけません。

 

つまり陽蹻脉(申脈・膀胱経)・主―督脉(後谿・小腸経)・従です。

奇経は実病症をつかさどるという原則に合わせると、膀胱経が実ということは所属する奇経八総穴の申脉穴が実であることになります。

 

膀胱経が実となれば、(肺―膀)の関係から子午的拮抗経絡の肺経は虚ということになり本証は「肺虚」ということが推測されます。

 

次に奇経グループの従穴の後谿は、二番目に実経絡と診断され、その所属が小腸経となるのでおのずから「副証」が子午的拮抗経絡の肝経の虚と推測されるのです。

 

ゆえに「肺虚肝虚証」が推測判断されます

症例:右肩・右腕の激痛


トラック運転手 女性 40歳 

3ヶ月前から夜も痛くて眠れない。整形外科に通っているが一向に良くならない。座位で坐っているが、今も右手次指がうずいている。

子午診断


その右手次指(大腸経)のうずきにたいし、まず子午診断を試みるが、子午拮抗経絡の左腎経の太溪辺りの虚圧痛に金2番鍼を近づけると「痛い!」と顔をしかめた(患部は虚痛であることが判定できる)。

 

すぐに反対側の右腎経・太溪辺りを補うと「楽になりました」という(同側子午)。

 

結果的には本治法は「肝虚肺虚証右から交差」(右曲泉・右陰谷そして左太淵・右大白の順で補った)で、にこにこ顔で帰って行った。

臨床解説


  1. 右腎経の太溪虚・・・右腎虚証か?しばし待て!
  2. 奇経診断・・・・首・肩から腕の痛みというのは頸椎病症であり督脈病症であるのが定則である。よって督脈の総穴は後谿であるから、後谿―申脉の奇経グループを考え診断に入るのがベスト。後谿に交互に金20番鍼をあてると脉状が大きくなる側は左だったので実は左。ゆえに後谿―申脉グループにおいて同側か交差かを確認(平ばり)・・左後谿―右申脉で脉締。
  3. 左後谿が実と推測されるので子午拮抗経絡の右肝経の太衝に補法すると脉締を得た。ゆえに右肝経虚が確定し、その母の腎虚もすでに虚と分かっているので肝虚証が確定
  4. つまり、「肝腎虚肺脾虚証右から交差」の証が決定診断される。
  5. 座位のままで帰したので腹気鍼診断はやらなかったし、この症例では必要なし。

症例:五十肩


「右肩が痛くて、服を着るのがつらい」52歳公務員

動作痛あり・・・・結髪動作・結滞動作ともに陽性、挙上できない。

 

子午診断


右肩、小腸経を実痛と推定し、子午拮抗経絡、左肝経の蠡溝に金30番鍼を接触したが、脉は浮いて拡がった。

 

痛みを虚痛と見直し、患部と同側の肝経蠡溝に金30番を接触したところ脉締した。つまり同側子午鍼法である(拙書:脉診流子午鍼法臨床指南を参照)。

奇経診断(子午・奇経連動診断)


  1. 左後谿―右申脉・・脉変わらず
  2. 左後谿―左申脉・・脉締証・・・・・肝虚肺虚証右同側

講習会のお知らせ


8月27日(日)は子午鍼法・奇経鍼法の講習会です。

 

子午診断と奇経診断が連動している実際をご検証くださいませ。

 

詳しくは こちら をご覧ください。

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